第2回神戸社会人大学訪中団報告書

11月1(木)〜5(日)

中国視察ツアー

鬼塚学長を団長に6名

北京、長春、大連

北京大学、東北師範大学

<中国・北京大学、東北師範大学交流ツアー(平成12111日〜5日)>

    神戸社会人大学 学長 鬼塚 喜八郎

 

  今秋、我が神戸社会人大学の提携先である北京大学並びに長春にある東北師範大学との交流を深めるため六名の使節団を編成、両校を訪問。1990年の北京アジア大会以来ひさかたぶりに訪れた北京市は、街ゆく人々も自転車から自動車へ変り活気に満ちた経済発展の姿があった。

  宿舎である友誼賓館に落ち着く間もなく、王蒙元文化大臣を始め

中国の要人の歓迎昼食会を受けた。

北京友誼飯店、王蒙元文化大臣・厳紹湯北京大学教授と

 
 第一日目の訪問先である北京大学を訪問。キャンパスの中には風

光明媚な池あり、壮大な学舎あり、将に一つの都市の感あり。暫くしてたどりついた「中国文化センター」の迎賓館で、北京大学比較文学の研究所所長 厳紹湯教授を始め幹部教授陣との挨拶も終り、早速、講演会場で記念講演を始める。

◇神戸社会人大学学長 鬼塚団長の「スポーツを通じての人材育成論」

◇関西国際大学教授 北畠副団長の「中米関係改善時代のワシントン」

◇川西ライプチッヒ大学客員教授 「最近のEUの動きとEUから見た中国・日本」

◇小野田 松下電器叶l材教育センター「松下電器の海外展開と社員教育」 とそれぞれの講演に対し学生の皆様は熱心に受講され、会場は超満員の大盛況であった。

  夕方には北京大学の晩餐会に招待され、北京料理と招興酒に打ち解け通訳を経ての懇談会は百年の友の如く、交流を深めていった。

  第二日目は、長春に飛び東北師範大学を訪問。この春、ご来神の折りご講演いただいた史寧中学長を始め幹部先生方の歓迎を受け、早速、鬼塚は大学の大講堂にて、同大学からの客員教授の称号授与式に参列、引続き記念講演「わが体験的経営論」を約1時間15分にわたり講演をすることができた。会場には中国側から史学長始め関係教授陣・学生・日韓からの留学生も多数参加し盛大に学術講演会を大評判のもと終了することができた。

  終了後、東北師範大学郊外の新キャンパス、新校舎を見学して、中国の教育・人材育成の学府が益々充実してゆくことは13億の人口をかかえるアジアの大国の力強さを感じた。

  その晩、長春の郷土料理で懇親会の中、底知れぬ中国の一端をかいま見て、今回の交流ツアーが実に有意義であったことを物語るものでした。帰途、上海での外灘(ワイタン)地区の雄大な夜景は、そこに世界市場の窓口である上海の大発展の姿を見ることができたことに感謝します。 

<2000年度・中国ツアーを終えて 北京、長春、そして上海>

第2回神戸社会人大学訪中団 川西 重忠(ライプチヒ大学) 

 

 今年も昨年と同じく11月1日〜5日の4泊5日の中国ツアーを行うことが出来た。視察地は北京、長春、大連の当初予定が、飛行機の都合で上海経由の帰国となった。フライト確保に今迄これほど苦労したことは無い。参加者が10月に入っても鬼塚学長と私川西の2人で心配していたが最終的に昨年の5名を上回る6名とな

長春旧大和ホテル、東北師範大学への答礼宴

 
  り、まずは胸をなで下ろした。

北京、長春では我々神戸社会人大学の提携校である北京大学、東北師範大学を表敬訪問して厳教授、史学長と再会を喜び、学術交流会を行った。今回のツアーで一番元気で一番活躍されたのは鬼塚学長であった。各交流会でも話題の中心であり、中でも東北師範大学での気合の入った客員教授授与の記念講演は大好評であった。北京大学の迷子になりそうなほど広大なキャンパス、東北師範大学の郊外の新校舎、上海外灘(ワイタン)の雄大な夜景、アシックス中国の設営による上海蟹の最後の晩餐、と思い出は尽きない。今後も秋恒例の主要行事として続けたいものと思う。

<「北京好日」〜北京大学での思い出〜>

        神戸社会人大学訪中団 小野田耕士

11月2日(木)天気 快晴

 午後、宿舎の友諠賓館で、王蒙元文化大臣をはじめとした中国の要人との会食を終え、今回の訪中はじめての訪問先である、北京大学に向け我々訪中団一行6名は車で出発した。

北京大学国際センター、学術交流会会場風景

 
ところが、北京大学の入り口にたどり着いたものの、なかなかめざす交流会場は見えない。

20分以上車にゆられ、途中、風光明媚な池のほとりや、荘重な学舎の脇を通って、ようやく目的の「国際交流センター」に到着した。北京大学の広大さは、他に例えようがない。まさに、大学の中がひとつのコミュニティーであり、別世界であると言えよう。

 約束の2時を少し過ぎていたものの、2時20分に講演会が開始。今回、中国側でご招待いただいた、北京大学・比較文学―比較文化研究所所長の厳紹湯教授の司会と歓迎のご挨拶を皮切りに、我々一行のうち、4名が満員の北京大学学生の方々への講話を行った。

 鬼塚学長が、神戸社会人大学を代表して、北京大学関係の皆様へのご挨拶と、アシックスの企業経営理念、ご自身の体験に基づくスポーツを通じての人材育成の根本に関する講話をされた。引き続き、副団長の関西国際大学教授の北畠先生が、「中米関係改善時代のワシントン」と題して、新聞記者時代に特派員として米国で見聞された内容などを講演され、さらに、ライプチッヒ大学客員教授の川西先生が、「最近のEUの動きとEUから見た中国、日本」と題して、ドイツから見た日本や、中国の動き、あるいはハノーバー万博やコンコルド事故など最近の注目すべき動きについて講演された。最後に、団員の小野田から、「松下電器の海外展開と社員教育」と題して、松下電器の北京合弁会社の紹介、松下電器の人材育成のあり方等について講話をした。

 北京大学の学生の皆さんは、どの講話も大変熱心に耳を傾けられ、最後に数名の方から質問もいただいた。中には、日本からの留学生の女性の方も居られた。講演会場の教室は学生がつめかけて満員となり、通路にも椅子を運んで大盛況のうちに幕を下ろした。

 なお、余談になるが、この後とんだハプニングに一部の団員は遭遇する。講演会を終え、歓迎宴会に向かう際、私と野口さん、池永さんの3名は、トイレに立ち寄ったが、これが原因でこの3名は、哀れにも広大な北京大学で迷子になってしまった。夕暮れの薄暗い大学のキャンパスを茫然と眺め、立ちつくす3人組。すぐに先発組を追いかけていこうとしたが、なにしろ広大で、建物が立ち並んでいる学内のこと、学生達が自転車に乗って寄宿舎に先を争って通行している中、仲間の人達は、はるか彼方に消えたようである。 ところが、北京大学の人達は暖かい。交流センターの守衛の方は、どうされましたかと声をかけてくれ、また通りすがりの学生さんの中には、どの教授に連絡をしたらいいのか自分で電話をしてあげようと言ってくれた。そうこうしているうちに、我々3人組がいないことを知った留学生の方が迎えに戻ってきてくれた。地獄に仏とは正しくこういうことか。懇親会に向かう道すがら、留学生の方から、北京大学の学生の猛勉強ぶり、あるいはどのように全国から選ばれて入学するのかなど興味ぶかい話を聞け、大変満足だった。

 

<受けザラづくりの重要性>

関西国際大学 北畠 霞

 北京、長春、上海と45日でかけめぐった今回の旅行で痛感したのは、神戸社会人大学が明確な組織化への道をいよいよ迫られているということだった。

 これまで10年余りにわたって川西重忠さんを中心に神戸社会人大学は活動を続けてきたが、それは個人的な人脈を中心と

した、いわば塾のようなものだったといっていいだろう。それ

東北師範大学の新キャンパス

 
    はそれで大きなメリットがあるのは確かだ。

 しかし北京大学の比較文学・文化研究所や東北師範大学との交流が今回の私たちの旅行で現実のものとなり、鬼塚学長が東北師範大学の客員教授としてこれからも講義される機会が多くなれば、これらの大学から神戸社会人大学で学ぶことを希望する中国学生が増えてくるだろう。この人たちを私たちが受け入れることのできる組織を作っておかねばなるまい。長春郊外に広大な新キャンパスを建設している東北師範大学が私たちのための場所まで用意してくれていることを忘れるわけにはいかない。

 ところで最近、私は勤務している大学の関係で中国を訪れることが多くなり、70歳を目前に控えながら、いよいよ中国語の勉強を始めねば、と思っていた。この旅行はそれに切迫感を与えることとなった。どこまで出来るかわからないが、「人生常にチャレンジ」を学生たちに説いている手前、できるだけ多くの時間を割いて勉強していこうと思っている。(20001210日)

 

 

<中国視察旅行‘’マッサージは如何?‘’>

    神戸社会人大学訪中団 池永公美子

北京大学の学生と記念撮影

 
今回の旅行は私には初めての中国訪問でした。 実質三日間に三都市訪問、二大学との交流と言う多忙な旅程、自由時間は北京での午前半日。 その半日には万里の長城と天安門広場観光

  し、中国の大きさ、偉大さ、オリンピック招致に向けての近代化を観ることが出来ました。他の自由時間に経験できることは?と好奇心旺盛、欲張りな私と野口女史は思案し、夜の時間を利用してマッサージを体験することにしました。 二日目の北京のホテルが始まり、きれいな女性がいる美容サロンでとても清潔、それに治療にも満足。 私達同様お店の方もお客さんに満足したのか、夜中にセールス開始、一行の皆の部屋に‘’マッサージは如何?‘’とのお誘いの電話が掛かる羽目に。 爽快感に味を占め、翌日の長春の夜はあとお二方も誘って、街中の理髪店へ。 店の奥で全身と足ツボの按摩をほぼ二時間も満喫。 最後の夜はアシックスの方にお願いして遂に全員で足ツボマッサージに連れて行って戴きました。 こうして体が軽快になった中国旅行でした。 鬼塚学長は長い人生ではじめての足ツボマッサージとか、その後、病みつきになって神戸でも行かれているのではありませんか?

<鬼塚学長随行記  「気ままな秘書の戯言」>

神戸社会人大学訪中団  野口敬子

 

上海にてアシックス現地会社幹部の方々と

 

 
 初めての中国旅行なのに、北京のあの「紫禁城」を見ずに、北京大学の広大なキャンパスを歩き回り、長春の東北師範大学では新キャンパス学生寮の部屋まで入りこんだ、不思議な中国旅行であった。さすが、神戸社会人大学の中国視察、決して他ではありえないことが経験できる、実に貴重で有意義な旅行であった。

川西さんから鬼塚学長秘書としての任務を仰せつかったのだが、鬼塚学長は中国を何度も訪問しており、私よりはるかに中国通、それに世界中を飛びまわっているダンディな国際人、反対に学長が秘書にやさしく気遣ってくれるナント有り難い旅行であったことか。鬼塚学長が、北京大学での講演原稿の準備の為、ホテルの部屋に閉じこもって勉強されている間に、秘書の私は小野田さん、池永さんと一緒に、万里の長城への観光を楽しんだ。学長は勉強、秘書は観光で羽をのばしていた。

 鬼塚学長の講演は、アシックスの企業経営論や自らの体験を話されたのだが、マイク必要なしのよく通る大きな声で凄い迫力であった。当然、中国の学生にとっても、ゼロから世界的に有名な企業を興した人の成功物語は非常に興味深く勉強になる。それにも増して、学長の迫力ある声と、自ら履いていた靴まで取り出して説明するなど身振り手振りの大熱演は圧巻だ。東北師範大学では、講演が終わった後、学生達が鬼塚学長を囲み握手を求めてきた。鬼塚学長と学生達の心が通じ合っているのだ。感動的で胸がキュンとなった。鬼塚学長の手の温もりは、彼らをきっと日本びいきにさせていくだろう。学生達の顔は日本の大学生の様にすれていないのか、まだ幼くて可愛いい。それに長春は北京に比べると田舎だからか純朴といった感じで、服装もやぼったい。長春で通訳をして下さった東北師範大学国際交流課の池睿(チュー)さんは日本語を大学で4年間学んだだけで、日本への留学経験もないのに、完璧な日本語を話すのには驚いた。池さんは控えめなやさしい好青年で、雰囲気が日本人の様だ。鬼塚学長の講演で「成功する人はネアカ」と言った時には、池さんはもちろん、ネアカを理解できなかった。今の流行語や俗語は知らない池さんに私は「コギャル、渋谷のガングロ」など教えてあげた。仕事上、スペイン語と日本語の翻訳・通訳もしなければならない私にとって、日本への留学経験のない池さんが日本語を完全にマスターしているその姿勢は、まさに驚異的であり、中国人の優秀性をガンと見せられた思いがした。日本の大学生は一体どうなるのであろうか。

 今回、私は実体のない(?)神戸社会人大学が、いわゆる日本の東大である北京大学や教育者養成で権威のある東北師範大学と人並みに学術交流をしている様を目のあたりにして、呆気にとられた。東北師範大学・史寧中学長から「ポンユウ」と何度も親密に言われていた川西さんって一体何者なのだろうかと改めて考えさせられてしまった。鬼塚学長は偉い、錚々たる中国の大学教授や学長を前に大きな声で堂々と「神戸社会人大学はキャンパスも校舎もなく、教授はボランタリーで教え、学生は皆な社会人であり、……」と演説したのであった。正直に真摯に語る鬼塚学長を誇りに思った瞬間であった。その正直なひたむきさが世界のアシックスを育て、そして、神戸社会人大学を育てていくのであろう………。